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事務長の湯沸室

プラスチックの面倒くささ⑥

 4大プラスチック、残りのポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)、どちらも接着で難儀する、てことでまとめていきます。

 ポリエチレンとポリプロピレンはポリマー(重合体)でして、ポリプロピレンはプロピレンが、ポリエチレンはエチレンが重合したプラスチックです。モノマーである、プロピレンとエチレンは「ナフサ」からつくられます(詳しく云うと、エチレン・プロピレン・ブタジエン・ベンゼン・トルエン・キシレンが作られます)。ナフサとは、原油を蒸留してできる(石油製品)の一つです。
 精油所の加熱炉に原油を送り、約350℃で加熱すると石油蒸気になります。さらに蒸留装置に送られ冷却すると成分ごとの沸点の違いによって、(LPガス/ガソリン・ナフサ/灯油/軽油/残油他)が生成されます(重油は、軽油に残油を混ぜてつくられます)。これらを総称して石油(製品)と呼び、蒸留装置内で同時に生産されるので(連産品)といいます。連産品の割合は、原油の産地(成分)で異なりますが、日本に多く入ってくる中東の原油からは、(およそ)ガソリン24.5%、軽油19.2%、C重油16.4%、A重油12.1%、灯油11.7%、ナフサ7.8%、ジェット燃料油4.7%、潤滑油・その他3.6%が作られるそうです。原油の92%が燃料や他の油類となり、プラスチック類となるのは約8%という割合になります。
 ナフサはプラスチックだけでなく、合成樹脂・合成ゴム・化学肥料・塗料等の原材料です。
重油は燃料として使うほか、舗装用のアスファルトの原料にもなります。軽油は、日本ではディーゼル車の割合はまだ低いので、余った分を海外へ輸出しています。
 話しがまたも反れかかってますが、原油を精製する過程では、一定の割合で(副産物)も生成されます。副生水素(オフガス)もその一つ。オフガスとは、精油プラントで二次的に発生するガスで、液化しにくい水素・メタン・エタンからなる混合ガスを云います。(石油)製品化できず、精油所の自家燃料として消費される量は年間で、燃料電池自動車(FCV)800万台分の水素に相当します。我が国がFCV普及に力を入れているのは、副生水素を(連産品)として製品化するためです。
 何が言いたいか。仮に、(仮にです)自動車の全動力が電気(EV)になり、ガソリン・軽油は要らん、となってもプラスチック・化学肥料・塗料・アスファルト等、石油由来の製品の需要がなくなるわけではなく、その原材料の供給は停められません。例えば、摩擦低減のための潤滑油やグリスは機械製品にとって必須、なくすことはできませんよね。
 生成される(連産品)ガソリン・軽油を、使う充てもなく無駄に燃やす、のか。可燃性液体を処分方法が見つからないまま、保管・貯蔵し続けることも現実的ではありません。水素同様、貴重な資源の一つとして活用すべき、と思います。そりゃ、燃やす以外の用途があれば、ステキです。
 そのステキに考えられるのが、やっぱり車載用エンジン。ホットかクールか、どっちになるか分かりませんが、エンジンを積んだ自動車がこの世から消えてしまう未来は、私には見えません。燃費の向上や環境汚染物質を抑制する技術は、これからも研究開発が進められるでしょう。電気自動車に使われるリチウムイオン電池も、石油なしには作れませんから。

 次回は必ずポリエチレンとポリプロピレン。プラスチックの面倒くささ⑦、は明日のこころだぁ!
第13回はここまで(ww)。礼!(17/09/2023)

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