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事務長の湯沸室

プラスチックの面倒くささ⑤

・プラスチックの面倒くささ④、続きます。
 ポリ塩化ビニル(PV)の受難②
 消しゴムの原料てわかりますか?もともとは、天然ゴムで(字を消して)いたことから「消しゴム」と慣用的に呼称されていますが、実は塩化ビニルでできているプラスチック製品です。なので(プラスチック字消し)が正しいそうです。
余談ですが18世紀、“rub out(こするもの)”という名称で売られていたことから、ゴムを指す単語“rubber(ラバー)”が生まれたそうです(へぇ~)。
消しゴムには、製品として柔らかくするために「フタル酸エステル類」が可塑剤(添加)として用いられています。消しゴムに限らず、塩化ビニルから成る電線被膜・カーペット・衣類・塗料・接着剤等にもあって、その「フタル酸エステル類」が大気中へ徐々に揮発して室内に蓄積することで、床を這う乳幼児などがその危険にさらされると云うのです。
 デスクのペントレイに消しゴムがベタッと張り付いてることがありますが、これは消しゴムから染み出したフタル酸エステル類が、ペントレイと結合しているためです。
 2011年、デンマークがフタル酸エステル類による内分泌かく乱・生殖毒性・発がん性などヒトへの影響が懸念されると、(製造・輸入・使用)を禁止する制限案を欧州化学機関へ提出したことがマスコミに大きく取り上げられました(背景として、デンマークは大規模な化学産業を持たず経済への影響がない、のです)。
 ラットやマウスの実験では肝臓に腫瘍が発生するとの報告がありましたが、これはげっ歯類特有の作用メカニズムのためで霊長類では起こらない、また急性毒性は、砂糖や食塩よりも低いとの結論を受けデンマーク提案は拒否されました。
もっとも極端な曝露シナリオではその可能性を否定できないとの報告から、「フタル酸エステル類(4種)の使用総量が全重量比0.1%以上の製品」は規制対象(販売不可)となっています。
先述の“消しゴム”も、現在では非塩化ビニル製も出回っていますが、やはり字消しの性能差はありますね
 「科学的データがないことを理由に、法規制の制定を妨げてはいけない」との原則がありますが、ともすると環境保護団体等による過大な適用要請の根拠にもなります。
 ダイオキシンもはじめは環境汚染物質でしたが、いつの間にか発がん性物質にすり替えられました(ダイオキシン類自体の発がんへの関与は、他の発がん物質によって影響を受けた細胞のがん化を促進する作用があることがわかっています)。現状の環境汚染レベルではダイオキシン類によるがん化のリスクはほとんどない、が今の見解です。しかしながら、旧いデータ(海外からの出典元の明記はあるものの、内容の説明は皆無)を持ち出して危険性を訴える自治体が散見されます。いわば“疑わしきは規制へ”なんですが、「思考停止」、に思えるのは私だけでしょうか。
 さて次回、プラスチックの話しはお休みです。は明日のこころだぁ!
第8回はここまで(ww)。礼!(30/06/2023)

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