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事務長の湯沸室

プラスチックの面倒くささ④

・プラスチックの面倒くささ④、続きます。
 ポリ塩化ビニル(PV)の受難(ダイオキシンの誤解)
 かつて、ゴミを燃やすとダイオキシン(類)が発生するという所謂(ダイオキシン問題)がありました。ダイオキシン類(3種の化合物の総称)は、難分解性で環境汚染物質であります。廃プラスチックがダイオキシンの原因、とよく言われますが、ダイオキシンは「塩素」がなければ絶対に出来ません。プラスチックが燃えて黒煙が出るというイメージが重なってるのかなと思います。
塩化ビニルには塩素が含まれると書きましたが、ダイオキシンの構成元素に塩素があるため、ダイオキシン生成の元凶、と目の敵にされていた時期がありました。
塩化ビニルが燃えると、水と炭酸ガスと塩化水素が生成されるだけです。でもこれは完全燃焼した時で、通常の燃焼では成りません。都市ガスも、コンロに鼻を近づければ(ガス臭い)ニオイがするのは完全燃焼できてないからです。
 80年代の地下水汚染問題、90年代に入り、内分泌かく乱化学物質問題(環境ホルモン)と相まってダイオキシンは大きな社会問題となりました。家庭や学校等での焼却炉は姿を消し、たき火も人目を憚るようになったのです(2001年4月“野焼き”原則禁止)。
 現在、ゴミ処理施設にある廃棄物焼却炉は、完全燃焼に近づけるため800度以上で焼却することが義務付けられています。この温度であればダイオキシン類でも分解するからです。しかしこの燃焼で生じたガスが冷却(300~500度)する過程で分解した物質が再結合して、ダイオキシンが生成されます(デ・ノボ合成といいます)。これを防ぐために下流側で、200度まで急速冷却、さらに集塵装置で塩素その他を回収するのです。が、安易に納得しちゃいけません。
 ゴミの大半は水分の多い厨芥ゴミです。また近年、問題となっているのは、いずれ誰でもお世話になるであろう(紙オムツ)のことです。需要は、子どもより大人が高くなっています。
子どものオムツ年齢は5歳までとして、一方、大人のオムツ年齢は70~90歳とすると子どものそれの数倍はあります。
オムツの素材は、(吸水材:ポリオフィレンと綿状パルプ)(防水剤:ポリオフィレン)(伸縮材:ポリウレタン)(接着剤:スチレン系樹脂)です。廃棄時の水分は65%以上(うす型なら1~2回分、厚手で3~4回分ですね)にもなります(オカシくなって倒れそうです)。
 プラスチックは急激に燃焼(一部は先に溶けて液状化し、下層に液溜まりを作ります)、空気不足から不完全燃焼を起こします(黒煙の原因は不完全燃焼です)。厨芥ゴミは水分が多く、直ぐには燃えません。ついでに紙類・衣類・木材ゴミは、延々と燃えます。
ゴミの中身の比率は知りませんが、これだけでも焼却炉内での燃焼コントロールが、いかに難しいことかを知っておくべきです。
 もひとつ、塩化ビニルと同重量あたり同程度の塩素量を持つ食塩からも当然、どっこいどっこいのダイオキシンが発生します。
プラスチックの面倒くささ、ポリ塩化ビニル(PV)の受難は続くよ、は明日のこころだぁ!
第7回はここまで(ww)。礼!(26/06/2023)

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